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〜なぜ人は音楽で感動するのか〜
養老孟司さんと久石譲さんの対談が本になっている。「耳で考える──脳は名曲を欲する」《角川one テーマ21》は面白かった。自然科学者(解剖学者)、と音楽家。相通じるところが多く、お互いの疑問が氷解していくところが興味深い。
人の五感は退化傾向にある。ところが聴覚は別だそうだ。養老氏は次のように述べている。"古い感覚器が耳だけは非常に強く残っている。情動は脳の古い部分「爬虫類の脳」といわれている「大脳辺縁系」に大きな影響を与える。聴覚はそこに直接届いている。脳に一番近い。ところが、一番遠いのは目。目は非常に客観的。だから見て感動するより、聴いて感動する方がよっぽど多い。" また、"ニーチェは「悲劇の誕生」という本で、ギリシャ悲劇の二重性を説明している。視覚から入ってくる方は、明晰な美しさを持ち、均整といったものを中心にしている、それに対して音楽は強くて暗くて、強く人を動かす。それを彼は「アポロン的」「ディオニソス的」というふうに分けた。その二つの組み合わせによってギリシャ悲劇はできているのだといったことを二十代の若さで書いている。" とも述べている。この様な養老氏の明快な分析に久石氏は長年の疑問が解けたと言う。
音楽は生命の根源にかかわるもの。決して粗末には扱えない。最短距離にいる我々の責任は重大だ。
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